晴病文庫

サークル【晴病文庫】のブログです。

投稿しましたよ宣伝&作業記録(3回目)

f:id:kumohare72ki:20201017085549j:plain www.pixiv.net pixivに投稿しました。Twitterの週イチ創作企画「深夜の真剣物書き120分一本勝負」参加作品です。
追記からいつもの作業記録です。今回の作業記録も文字ばっかなんですよね~でも文字のがスマホでも見やすいっていうか拡大の必要がなくて楽で私は好き。

時間配分

今回の時間配分は

  • 15分:ネタ出し
  • 30分:下書き・アウトライン
  • 60分:本文
  • 15分:校正修正その他諸々

で120分を予定してました。

ネタ出し

写真を撮るのが手間&字が汚いので写真は割愛。

  • 木蓮:前々から『植物を人間の姿に変えさせ自分の〝恋人〟にする世界』が頭にあったので、〝恋人〟役として使用。
  • ふたご座:「植物を〝恋人〟にするには双子座が見える夜に云々」というまじないのキーポイントとして使用するか悩み、最終的に〈場所〉として使用。
  • 紙風船:恋人の子供っぽさ・幼稚さをアピールする小道具になればいいな……と願いながら使用。

こんな感じでお題の使い方を決めて

  • ふたご座:鉄道で行く場所。姉の骨壺と木蓮を埋める。
  • 紙風船木蓮の見た目は年頃の娘なのに中身は幼い。姉のそばでぽんぽん放り投げて遊んでる。
  • 木蓮:姉の〝恋人〟。普通は木ではなく地面に咲く花を選ぶ。姉は生まれた日に植えられた〝木蓮〟を恋人にした。
  • オチ:最後の土を被せるとき、にぃと笑う木蓮。弟に見せびらかすように、愛しげに壺を抱いて見せる。「これでこの子は永遠に私のものだ」あっと思ってももう遅い。掘り返してみても年頃の娘の姿はなく、根ばかりの木蓮が姉の骨壺に絡みついていた。

こんな感じでざっくり要素をまとめて

  • 姉:物静か、淑やか、病みがち伏せがち。地震で倒れてきた棚から木蓮を庇い、怪我をしてそれが原因で亡くなる。
  • 弟:姉を愛していた。〝恋人〟に構うばかりでほかの男に興味のなさそうな姉と一生暮らしていこうと思っていたのに、木蓮を庇って死んでしまったので木蓮を憎んでいる。
  • 木蓮:姉の〝恋人〟。見た目相応の精神年齢だったが、姉が無邪気な〝恋人〟を望んでいたからそのように演じていた。姉がもう少し体の強い娘だったなら、いろんなところへ行きたかった。最終的に姉を手に入れたので満足している。

こんな感じで人物のあれやこれやも決める。植物をどうやって〝恋人〟にするかのまじない方法とかそんなんも決めてたけど使わなかったので割愛。
この辺で12分経過。

下書き・アウトライン

以上のネタを組み立てていく。下書き&アウトラインは以下の通り。

「私が死んだら、このこと一緒にふたご座に埋めてちょうだいね」 それが姉の口癖だった 姉の言うこの子とは、木蓮のことだ 姉の恋人は木蓮だった 通常、花を恋人にするときは木を選んだりしない 恋人にするには手間がかかる上に、関係を解消するにも苦労する 地中深く根を張る木は、情も深いのだ なのに姉は、木蓮を選んだ 植物を恋人に変えるまじないとやらも、僕ら家族にすら気取らせずやり切った

骨壺を抱えて鉄道に乗り、がたごと揺られる ふたご座へ向かっている ふたご座で同じ墓に埋葬されると、来世でも縁が結ばれるらしい だから姉はふたご座を指定した 恋人にされた植物は、関係を解消しない限りは人の姿のまま、人の寿命を全うする つまりこの木蓮は、生き埋めにされるのだ そうとも知らず、木蓮はのんきに紙風船を投げ上げて遊んでいる 思わず舌打ちが出た こいつはいつもこうだった 病みがち伏せがちな姉の床のそばで、鮮やかな色の紙風船を投げていた 中庭に面した部屋が、姉の部屋だった 四季折々の花が咲き乱れる、我が家自慢の庭だ 姉が木蓮を恋人にしてしまってからは、一角にはぽっかりと寂しい空間ができていた 誰も、そこに新たな植物を植えようとはしなかった

地震があった 我が家も揺れた 運悪く、その日は姉も起き出していた 珍しく、体調が良かったのだ 木蓮を連れて、姉は屋敷を歩いていた 運の悪さは重なるもので、揺れたそのとき、姉は書斎に入ったところだった 揺れた棚が木蓮に倒れかかったらしい そのまま潰れれば良かったのだ、こんな木偶 よりにもよって姉は、木蓮を庇った 木蓮を突き飛ばし自分が棚に押しつぶされた 僕が助けに行ったとき、姉は生きていた あちこち骨が折れていた 傷みに呼吸が止まりかけていた 金にものを言わせて医者に診せたが、治療の甲斐なく、姉はみるみる弱っていった そして冒頭の台詞を残し、身罷った

遺言を実行するのは、僕だった 僕は木蓮を憎んでいた 姉は僕のものだったのだ 姉は伏せがちなせいで友人と呼べる存在もおらず、見合い話すら持ち上がらなかった 僕は嫁を取り家を継ぎ、いつまでも姉を手元に置いておくつもりでいた いつまでもいつまでも、姉の世話をして生きていきたかった 姉だけを愛し生きていくつもりだった なのにこの木蓮は、僕から姉を奪った 心だけでなく、命までも奪ったのだ こいつには生き埋めがお似合いだ 僕の膝にある骨壺には、骨なぞ入っていない 姉の望みを叶えてやらないのは心苦しいが、こいつに姉の遺骨なぞ一片たりとも渡したくなかった こいつには、空の壺と寿命を迎えるそのときまで穴で過ごしてもらうのだ

ふたご座に着いた 木蓮が駆け出していく 墓地への扉は、固く閉ざされていた 恋人を埋めることは罷り成らないと言われたが、家名を告げ金子を渡すと墓地への扉は開かれた 定められた一角に穴を掘る 木蓮が入るだけの幅を、木蓮が這い上がれないだけの深さを、一人きりで掘った 誰にも僕の邪魔はさせない 木蓮に壺を持たせ、穴へと突き落とした 穴の底で僕をぽかんと見上げる木蓮に、スコップで土をかけていく 木蓮喃語を吐き散らかしていたが、無視して黙々と土を被せた 穴から上がるのを諦めた木蓮は、口をもぐもぐさせながら穴の底でしゃがみ込んでしまった 腕には、しっかり壺を抱きしめている 木蓮の瞳が僕をじっと見る やめろと呟き、顔目がけて土を落としてやった しゃがんだせいで、木蓮は速いペースで埋まっていった 顔が隠れる最後のひと被せの瞬間、木蓮はにぃと笑った 「これでこの子は、永遠にあたしだけのものだ」 愛しげに壺へ頬ずりする木蓮 愚かな奴めとあざ笑い、穴を埋め立ててしまった 足取り軽く家へ帰ると、屋敷中が大騒ぎになっていた 「あの子の骨がない!」 遺骨と遺灰を納めた豪勢な壺の中身は、土塊しか入っていなかった 「やってくれたな、植物の分際で……!!」 急ぎ列車に飛び乗り、ふたご座へ舞い戻る 墓地には、木蓮の木がしっかと根を張って立っていた まるで、もう何年もここにいるような根付き方だ 根に当たるのも構わずスコップの刃を地面に突き立てる 掘り返しても、姉が入った壺にはぎっちりと根が絡みついていた 泣いて頼んだって、僕らが姉を取り戻すことは、終ぞ叶わなかった

ここまで書くのに21分。余った12分でポメラに打ち込み、ネタ出し&下書き終了

本文&校正修正その他諸々

上の下書きに肉付けしていって本文終了。いつも通りpixiv投稿用に画像用意して、Twitter投稿用に本文画像も出力して、投稿したり予約したりして終わり。pixivに投稿したものは冒頭か以下のリンクから読めます。 www.pixiv.net 短いから今回も時間に余裕があったけど、これ初めて参加したときの話が長すぎたから時間かかっただけで企画趣旨通りの『掌編』を書くのならこのくらいで終われるものなのかもしれない。
こんな感じで書いた掌編、楽しんでいただけると大変嬉し。